『世界99』村田沙耶香/おすすめ本!あらすじ

目次

あらすじ

この世はすべて、世界に媚びるための祭り。

性格のない人間・如月空子。
彼女の特技は、
〈呼応〉と〈トレース〉を駆使し、
コミュニティごとに
ふさわしい人格を作りあげること。
「安全」と「楽ちん」だけを指標に
キャラクターを使い分け、
日々を生き延びてきた。

空子の生きる世界には、
ピョコルンがいる。
ふわふわの白い毛、つぶらな黒い目、
甘い鳴き声、どこをとっても
かわいい生き物。
当初はペットに過ぎない存在だったが、
やがて技術が進み、
ピョコルンがとある能力を備えたことで、
世の中は様相を変え始める。

私たち、ピョコルンに、
全部捨てられるようになりましたよね。
性欲を。出産を。育児を。介護を。
人生の時間を食いつぶす、
あらゆる雑務を。

14年前、「リセット」を経験した人類は
混乱の最中にあった。
しかしラロロリン人の考えた
「人間リサイクルシステム」が
うまく機能し、やがて社会は再生を迎える。

そして49歳になった空子は
「クリーンな人」として、
美しく優しい世界を生きている。

生まれ育った街「クリーン・タウン」の
実家に戻り、同級生の白藤遥と
その娘・波とともに。
ようやく訪れた穏やかな社会の中心には、
さらなる変貌を遂げたピョコルンがいた。

村田沙耶香渾身の大長編、ここに完結。
都合の良い「道具」・ピョコルンを
生み出した果てに、
人類が到った極地とは――。

(ソース:Amazon)

感想

「寒い」という言葉を声に出すだけで
体温が1度下がる気がする今日この頃。
「衣替えまだ終わってないよ!」と
叫びたくなるけれど、
なんとかモコモコ靴下と
ヒートテックインナーを
引っ張り出し
寒さに備える体制に入っております。

そんな冬支度の最中
さらに背筋がゾッと寒くなる
『世界99』を読んだ。

この本は、かなりグロテスクであり
狂気のディストピア小説なので、
好き嫌いがはっきりと分かれてしまう
かもしれないが
私はこの本に出会えて
本当に良かったと思う。

やはり村田沙耶香さんは天才だった!
非現実的な世界を描きながらも
あまりにリアルに感じられ
私の現実感覚は
軽くショートしてしまった。
村田さんは〝現実の綻び〝を
軽やかに引き裂く魔法を使えるに違いない!
そして思考のジェットコースターに
乗せられるのだ。

一方で、この物語は読み進めるうちに
底知れぬ違和感が立ち上がってきて、
気がつくと強く物語に
引き込まれている。

そして誰もが蓋をしてきた
恐ろしい真実を
直視せざるを得なくなるのだ。
__生きている限り
誰もが被害者であると同時に
加害者でもあるという事実に__

日頃、目を背けてきたことと
向き合うことになるのである。


この大傑作!
まさに圧巻の1冊だ。

著者紹介

村田 沙耶香(むらた さやか、
1979年8月14日 – )は、
日本の小説家、エッセイスト。

デンマークにて(2022年)誕生
1979年8月14日(46歳)

千葉県印西市出身。同市立小学校在学中の
10歳の時に執筆を開始し、
執筆しているときだけ自分自身を
表現し解放することができるようになったと感じていた。小学生の時に
ジュール・ルナールの『にんじん』を読み、「最後まで絶望的であることに
すごく救われ」、
中学時代は同級生から「死ね」と言われ
実際に死のうと思ったものの、
小説を書いていて生への執着に
つながったと語る。

家庭は保守的で、
兄は医者か裁判官になるよう
プレッシャーをかけられていた一方、
村田自身は「女の子」としてピアノを習い、
清楚なワンピースを着て、
伝統ある女子大学に進み、
しかるべき男性に「見初められて」
結婚してほしいというのが、
母親の願いだったという。

二松學舍大学附属沼南高等学校
(現・二松學舍大学附属柏高等学校)、
玉川大学文学部芸術学科
芸術文化コース卒業。大学時代には、
小説と向き合うために
コンビニエンスストアで
アルバイトを開始し、2016年に
「コンビニ人間」で
芥川龍之介賞を受賞した後も
しばらくアルバイトを続けていた。
大学時代、周囲の人間から、
金持ちの結婚相手を見つけ
出産について考えなければいけない、と
言われ、何のために大卒資格を取るのかと
ショックを受けたという。
10代から20代にかけて、
世間が期待する可愛い女性を
演じようと努めるも、それは
「恐ろしい経験」であったという。
横浜文学学校にて宮原昭夫に学ぶ。
(ソース:ウィキペディア)

受賞歴

・2003年 – 「授乳」で
第46回群像新人文学賞優秀作選出

・2009年 – 『ギンイロノウタ』で
第22回三島由紀夫賞候補
第31回野間文芸新人賞受賞

・2010年 – 『星が吸う水』で
第23回三島由紀夫賞候補

・2012年 – 『タダイマトビラ』で
第25回三島由紀夫賞候補

・2013年 – 『しろいろの街の、
その骨の体温の』で
第26回三島由紀夫賞受賞

・2014年 – 『殺人出産』で
第14回センス・オブ・ジェンダー賞
少子化対策特別賞受賞

・2016年 – 「コンビニ人間」で
第155回芥川龍之介賞受賞
・2017年 – 『コンビニ人間』で
第3回沖縄書店大賞受賞
第14回本屋大賞候補

・2018年 – 『地球星人』で
第35回織田作之助賞候補

・2022年 – 『消滅世界』で
第16回啓文堂文庫大賞候補

・2025年 – 『世界99』で
第78回野間文芸賞受賞

その他
・2016年、VOGUE JAPAN
Women of the Year 2016

・2016年、第3回Yahoo!検索大賞
パーソンカテゴリ 作家部門賞

(ソース:ウィキペディア)

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