感想
こんにちは。月子です。
今回ご紹介させて頂く本は
小川糸さん著作の
『ライオンのおやつ』です。
本作は、余命幾ばくもない主人公、雫が
人生最後の時間を過ごす場所である
ホスピスを舞台に
周りの人々と交流を深め
自分自身と向き合っていく物語です。
死をめぐる重いテーマなのですが
決して悲しくなり過ぎず
まるで暖かい陽の光に包まれたような
優しい気持ちになりました。
登場人物が抱える問題は
深刻な一方で
ストーリーが進むにつれ
彼らの内面にある輝きや
人間的な魅力が浮かび上がってきます。
散りばめられた言葉を通して
この物語からのメッセージも感じました。
“「人の幸せというのは
どれだけ周りの人を
笑顔にできたかだと思う」
「生きることは誰かの光になること」“
(本文より)
言葉がすうっと染み入りました。
ああ……悲しみの中からこそ
見える光があるのだ……。
暗闇の中の扉を通じてしか
見ることのできない光もあるのだ……と
打ち震えました。
なんてあたたかく穏やかな
死の物語でしょう。
そしてとてつもなく力強い。
私は悲しみの中に輝く
光に出会いました__。
祈りにも似たこの物語を読めて
本当に良かった。
そう心から思わせてくれる
美しい花のような一冊です。
よろしければ
あなたも是非
この本を
手に取ってみてくださいね。
素晴らしい
読書の時間を
お過ごしください。
おしまい。
あらすじ
人生の最後に食べたいおやつは何ですか――
男手ひとつで育ててくれた
父のもとを離れ、
ひとりで暮らしていた雫は
病と闘っていたが、
ある日医師から余命を告げられる。
最後の日々を過ごす場所として、
瀬戸内の島にある
ホスピス、「ライオンの家」を
選んだ雫は、
穏やかな島の景色の中で
本当にしたかったことを考える。
ホスピスでは、毎週日曜日、
入居者が生きている間に
もう一度食べたい思い出のおやつを
リクエストできる
「おやつの時間」があるのだが、
雫は選べずにいた。
――食べて、生きて、この世から旅立つ。
すべての人にいつか訪れることを
あたたかく描き出す
今が愛おしくなる物語。
(ソース:amazon)
(ソース:ポプラ社)
著者紹介
小川 糸(おがわ いと)
1973年生まれ
日本の小説家、作詞家、翻訳家。
音楽制作ユニットFairlifeのメンバー。
作詞家としてのペンネームは、
春嵐(しゅんらん)。
山形県山形市出身。
2008年から2012年までアミューズ所属。
夫はFairlifeメンバーとしても
共に活動する編曲家の水谷公生。
清泉女子大学への進学を機に上京。
国文学科で古代文学を専攻し
『古事記』を研究、
またサークル万葉集研究会で活動する。
大学在学中、後に夫となる
音楽プロデューサー・水谷公生と出会う。
大学卒業後はマーケティング会社に就職し
商品開発に携わるが、
本の世界にいたいと数ヶ月で退職。
編集プロダクションに転職し
情報誌のライターとして
仕事を始めるものの、
1号を発行して休刊伴いリストラとなる。
住むところを失ったことで、
水谷公生のもとで同居を開始。
会社勤めに嫌気が差し
就職せずにアルバイトをするかたわらで、「物語を書く人になりたい」
という気持ちが強まって
創作活動を開始する。
小説誌に応募して受賞したのを機に
短編3編を執筆、
その後も文学賞への応募や
出版社へ持ち込むなど執筆を続ける。
1999年、雑誌『リトルモア』に
「密葬とカレー」を発表し
小説家デビューを果たす。
2000年には水谷公生と結婚。
2004年に浜田省吾、水谷公生とともに
音楽制作ユニット「Fairlife」を結成して
「春嵐」(しゅんらん)のペンネームで
作詞を担当し、作詞家として活動を開始。
同年に1stアルバム『Have a nice life』、2007年に2ndアルバム
『パンと羊とラブレター』をリリースする。家事やレコーディングのため
家を訪れるスタッフのための
食事作りをしながら
雑誌への応募など
小説を書き続けるものの
芽が出ることはなく、
創作活動開始から10年以上
デビューのきっかけを
見出すことができずにいた。
その後いくつかの小説を発表したのち、
作家としての活動は
しばらく途絶えていたが
「もうこれでだめだったら
あきらめよう」と
好きな料理を題材として
執筆した小説
『食堂かたつむり』が、
2006年の第1回ポプラ社小説大賞に
入選こそ逃したものの
編集者の目に留まり、
編集者と二人三脚で作品を完成させて
2008年1月に出版、
念願の小説家デビューを果たす。
同作はTBSテレビ『王様のブランチ』のBOOKコーナーにて絶賛を受け
「第7回輝く!ブランチBOOK大賞・新人賞」を受賞、
おもに20代から30代の
女性読者からの支持を受けて
売上部数82万部を超える
ベストセラーとなった。
(ソース: ウィキペディア)
著者メッセージ
母に癌が見つかったことで
わたしは数年ぶりに母と電話で話しました。
電話口で、「死ぬのが怖い」と
怯える母に、わたしは
こう言い放ちました。
「誰でも死ぬんだよ」
けれど、世の中には、
母のように、
死を得体の知れない恐怖と
感じている人の方が、
圧倒的に多いのかもしれません。
母の死には間に合いませんでしたが、
読んだ人が、少しでも
死ぬのが怖くなくなるような物語を
書きたい、と思い
『ライオンのおやつ』を
執筆しました。
おなかにも心にもとびきり優しい、
お粥みたいな物語になっていたら
嬉しいです。
(ソース:ポプラ社)
受賞歴
『食堂かたつむり』
2011年 イタリアのバンカレッラ賞、
2013年 フランスのウジェニー・ブラジエ賞を受賞。
『ツバキ文具店』
『キラキラ共和国』
『ライオンのおやつ』
本屋大賞ノミネート
『とわの庭』
第34回山本周五郎賞候補
(ソース: ウィキペディア)