『水車小屋のネネ』津村紀久子/おすすめ本!感想あらすじ

・第59回谷崎潤一郎賞

・「本の雑誌」が選ぶ2023年上半期ベスト1位

・「キノベス! 2024」紀伊國屋書店スタッフが全力でおすすめするベスト30第3位

・2024年本屋大賞第2位

目次

感想

本を買うと栞が付いていた。
表紙と同じ可愛いイラストの栞だ。
裏には
「自分はおそらく、
これまでに出会った
あらゆる人々の良心で
できあがっている」
と書かれていた。

本を読み終え、
改めてこの栞を見つめる。
この言葉に
この物語に
わたしはすっかり心を奪われた。

子育てを放棄した母親と、
妹を虐待する母親の新しい男。
妹を救い出し、
家を飛び出した
18歳と8歳の姉妹。
ストーリーの背景は重いが、
その分、出会う人々の善意により、
再生してゆく姿が心に染み渡った。

町の人々の親切が、
ちょっとしたことなのも
また素晴らしい。
これは重要なことだと思う。

無理せず出来る範囲の善意。
土足で踏み込まず、
決して干渉し過ぎない。
そっと支えている。
水車を回す水のように
自然で無理のないものだ。

また、亡くなる人、町から出てゆく人、
新しく出会う人など、
常に周囲も変化してゆくこと……、
善も完全な善ではなく、
悪も完全な悪ではないことなどが
リアリティを増している。

やがて…
町の人々の温かさは、
姉妹の心に深く根付き、
成人した彼女たちは、
かつて自分たちが受けた良心を
今度は別の誰かに届けていく。

水面の波紋のように
静かに広がる善意の輪は、
わたしをしみじみと
幸せな気持ちにさせてくれた。

これは、人の真理ではあるまいか?

そう思うほど
読む人の心に明かりを灯し、
力を与えてくれる。
進むべき方向を示してくれる、
まるで道標のような1冊だ。

✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・

それにしても……
栞の裏に好きな言葉が
書いてあるというのはとても良い。
何でもすぐに忘れてしまう
阿呆のわたしには
うってつけである!
✌︎(^_^)✌︎

そして実は……
真似をして、栞に書き込みたいと思う
もうひとつの言葉がある。

「誰かに親切にしなきゃ、
人生は長く退屈なものですよ」
心に突き刺さった1文である。

忘れっぽい阿呆なわたしだが
これからもずっと
この言葉たちと
物語の人々が
心の中に住んでいて欲しい。

この道標のような1冊を心に抱え、
1歩ずつ、わたしなりに
歩いていけたらと願う。

なお、物語の真ん中に常に存在する、
水車小屋にいるヨウムのネネ。
このおしゃべりで音楽好きな鳥は
ニルヴァーナや
レッド・ホット・チリペッパーズの曲を
歌ったり踊ったりして
なかなか良い。
大変お茶目である。
ネネがより一層物語を
新鮮で面白いものにしてくれているのは間違いない。
YouTubeでヨウムを思わず見てしまうのも
間違いない。∧( ‘Θ’ )∧

しとしとと降る、秋雨の音の中
この傑作に出会えたこと、
読めたことに感謝しながら、
ゆっくりと本を閉じた。

✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・

よろしければ
あなたも是非
この本を
手に取ってみてくださいね。

素晴らしい
読書の時間を
お過ごしください。

おしまい。

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あらすじ

“誰かに親切にしなきゃ、
人生は長く
退屈なものですよ”  
 
18歳と8歳の姉妹が
たどり着いた町で
出会った、しゃべる鳥〈ネネ〉 
ネネに見守られ、
変転してゆくいくつもの人生―― 
 
助け合い支え合う人々の40年を描く長編小説 
毎日新聞夕刊で
話題となった連載小説、
待望の書籍化! 

(ソース:Amazon)

著者紹介

津村 記久子
(つむら きくこ、
1978年1月23日 – )は、
日本の小説家。
大阪府大阪市出身、
大阪府立今宮高等学校、
大谷大学文学部国際文化学科卒業。

幼少時には児童書をまねて、
文章を書いていたが、
中学生のころからは
音楽に親しむようになる。大学3年のころから
本格的に小説を書き始める。
2000年、新卒で入社した会社で
上司からパワーハラスメントを受け、
10か月で退社。
その後、職業訓練校などを経て
2001年に転職。
2005年に「マンイーター」
(単行本化の際
『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で
第21回太宰治賞を受賞し、
小説家デビュー。
兼業作家として、
会社から帰った後、
睡眠を二回に分けて
その合間に小説を執筆していた。
2012年、10年半勤めた会社を退職し、
専業作家となる。

(ソース:ウィキペディア)

受賞歴

・2005年 – 「マンイーター」で
第21回太宰治賞受賞

・2008年 – 「カソウスキの行方」で
第138回芥川賞候補

・2008年 – 「婚礼、葬礼、その他」で
第139回芥川賞候補

・2008年 – 『ミュージック・ブレス・ユー!!』で
第30回野間文芸新人賞受賞
・2008年 – 咲くやこの花賞文芸その他部門受賞

・2009年 – 「ポトスライムの舟」で
第140回芥川賞受賞

・2011年 – 『ワーカーズ・ダイジェスト』で
第28回織田作之助賞受賞

・2013年 – 「給水塔と亀」で
第39回川端康成文学賞受賞

・2016年 – 『この世にたやすい仕事はない』で
芸術選奨新人賞受賞

・2017年 – 『浮遊霊ブラジル』で
第27回紫式部文学賞受賞

・2017年 – 『アレグリアとは仕事はできない』で
第13回酒飲み書店員大賞受賞

・2018年 – 『とにかくうちに帰ります』で
第10回エキナカ書店大賞候補

・2019年 – 『ディス・イズ・ザ・デイ』で
第6回サッカー本大賞受賞

・2023年 – 『水車小屋のネネ』で
第59回谷崎潤一郎賞受賞
・2024年本屋大賞第2位

(ソース:ウィキペディア)

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