感想
こんにちは。月子です。
今回ご紹介させて頂く本は
ラウラ・エスキヴェル著作の
『赤い薔薇ソースの伝説』です。
この小説は
美食の香りが漂う物語です。
革命の嵐が吹き荒れる
メキシコの農場を舞台に
愛と家族と料理というテーマが
織り込まれています。
時代は日本では明治の頃。
台所で産み落とされ
台所の匂いに包まれて
家庭料理人として成長した娘
主人公ティタは
メキシコ文化の
古い料理の秘訣を
世代から世代へと伝えてきた
鎖の最後の輪でした。
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この作品は
12の月の12の料理から
成り立っています。
各章の標題となっている
メキシコ料理は
スペインに征服される以前の
メキシコ、そしてスペイン、
それぞれの伝統を受け継いだ
完成度の高い
メスティーソ(混血)料理です。
レシピも記載されていて
まるで料理書のようでもあります。
香り高く芳醇な味わいが想像される
鮮やかな料理の描写に
私はすぐさま魔法をかけられ
夢中になりました。
食卓に香りが漂い
愛と痛み、
ラテンの情熱や官能が交錯するこの物語に
強く心を揺さぶられました。
そして、本書のもう一つの魅力は
現実では起こり得ないような
ファンタジックで
幻想的な雰囲気だと思います。
この手法は、ラテンアメリカ文学の
中心的な特徴の一つであり
マジックリアリズムというそうです。
魔法や奇妙な出来事が現実の世界に
融合することによって
物語に不思議な雰囲気を与えます。
この物語も
言い伝え、まぼろし
はたまた亡霊まで出現し
お伽話のような魅力に溢れています。
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この作品は90年代に映画化され
ヒットしました。
1993年度の第65回アリエル賞
(メキシコ・アカデミー賞)の
作品賞を含む11部門全てで
受賞しています。
本当は映画が観たくて
探し回ったのですが
見つけられず
仕方なく原作を読んでみたのです。
ところが…すっかり原作に魅了され
ファンになってしまいました。
メキシコの大ベストセラーにして
歴史に残る傑作です。
よろしければ
あなたも是非
この本を
手に取ってみてくださいね。
豊かな料理に酔いしれながら
ティタの愛の物語に
夢中になること
間違いありません。
素晴らしい読書の時間を
お過ごしください。
おしまい。
あらすじ
台所で生み落とされ
台所の匂いに包まれて成長した
美しい娘ティタ。
台所は彼女の聖域。
伝統の鎖から解放される唯一の場所だった…。
革命の嵐が吹き荒れるメキシコの
農場を舞台に、
不思議な力に守られながら、
禁じられた愛に身をこがす女の
数奇な運命を描く。
(世界文化社より)
著者紹介
メキシコシティ生まれ。
若い頃から映画脚本の勉強を始め
1985年の
『Chido Guan ,el Tacos de Oro』で
メキシコ・アカデミー脚本賞にノミネート。
メキシコを代表する
脚本家の一人として活躍する一方
1990年『赤い薔薇ソースの伝説』で
小説家としてデビュー。
この作品がメキシコで
大ベストセラーを記録した。
作品の映画化の際には脚本を担当
1992年度メキシコ・アカデミー賞
脚本賞を受賞している。
(世界文化社より)