あらすじ
樋口一葉の師・中島歌子は
知られざる過去を抱えていた。
幕末の江戸で商家の娘として育った歌子は
一途な恋を成就させ
水戸の藩士に嫁ぐ。
しかし夫は尊王攘夷の急先鋒
天狗党の志士。
やがて内乱が勃発すると
歌子ら妻子も逆賊として投獄される。
幕末から明治へと駆け抜けた
歌人を描く直木賞受賞作。
(講談社BOOK倶楽部より)
感想
こんにちは。月子です。
今回ご紹介させて頂く本は
朝井まかてさん著作の『恋歌』です。
この本を読んで
私は何故か大好きだった祖母を
思い出しました。
祖母は普段も
よく着物を着ている人でした。
髪の毛は腰まで長く
それをくるくると丸めて
お団子のように
纏めていました。
泊まりに行く時は
風呂敷に荷物を詰め
肩に担ぎ移動します。
生きたキジの首を捻り
よくキジ鍋も作ってくれました。
そして毟った羽は
万年筆の代わりでした。
羽の先に藍色のインクを浸し
手紙を書くのです。
そんなおばあちゃんの…
両親または祖父母は
幕末を知っています。
幕末を生きたのです。
そう思うと
遠く人ごとに思えた幕末が
意外とそう遠くはないと感じます…。
この物語は幕末に愛する水戸藩士に嫁ぎ
後に歌人となる中島歌子の人生が描かれています。
歴史小説でもあり
恋の物語でもあり
壮大な一代記でもあります。
そう遠くはないと感じた幕末は流血に満ちた時代でした。
切腹は名誉、斬首は不名誉という
恐ろしい価値観がありました。
命はとても儚かったのです。
「今しかない
人生は一瞬一瞬の
積み重ねでしかないのだ」…と
歌子がまるで
叫んでいるかのように感じました。
ひたむきさがひしひしと迫ってきました。
“君にこそ恋しきふしは習ひつれ
さらば忘るることもをしへよ“
-本文より-
(恋することを教えたあなた
どうかお願いです
忘れ方も教えてください)
歌子の歌がとても切なく心に響いてきます_。
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歌子の若かりし頃は幕末
祖母の若かりし頃は戦争でした。
平和な日常を過ごせる今の時代。
どこか当然のように過ごしていた
自分がいます。
それは決して当たり前のことでは
ないのだけれど…。
まだ足りない、もっと欲しいと思うより
…もっともっと…深く…
感謝を噛み締めるように
生きてゆきたいものです_。
辛い場面はあっても読んで良かったと
心から思う物語でした。
見事なストーリー展開や伏線回収もあり
物語としてとても面白く、圧巻です。
直木賞に納得の素晴らしい一冊でした。
よろしければあなたも是非
手に取ってみてくださいね。
ご一緒に読書という至福の世界へ
旅しましょう。
おしまい。
(Amazonが提供する聞く読書、オーディブル。ラジオ感覚で聞けてとっても便利です。
私は家事をしながら聞いています。今ではすっかり家事の時間が楽しみに変わりました。おすすめです!)
著者紹介
朝井 まかて(あさい まかて)
1959年8月15日
大阪府羽曳野市生まれ。
ペンネームは沖縄県出身の祖母
新里マカテの名に由来する。
人生を変えた一冊として
ユクスキュル / クリサート著
『生物から見た世界』を挙げている。
人間や動物のものの見方
つかみ取り方を相対化する点が
小説執筆に通じることがあるという。
(ソース:Wikipediaより)
受賞歴
2008年 -『実さえ花さえ、この葉さえ』第3回小説現代長編新人賞(奨励賞)受賞
2013年 -『恋歌』第3回本屋が選ぶ時代小説大賞受賞
2014年 -『恋歌』第150回直木三十五賞受賞
2014年 -『恋歌』第1回高校生直木賞候補
2014年 -『阿蘭陀西鶴』第31回織田作之助賞受賞
2015年 -『御松茸騒動』第21回中山義秀文学賞候補
2016年 -『藪医 ふらここ堂』第5回日本医療小説大賞候補
2016年 -『眩』第22回中山義秀文学賞受賞
2017年 -『福袋』第11回舟橋聖一文学賞受賞
2018年 -『雲上雲下』第13回中央公論文芸賞受賞
2018年 -『悪玉伝』第22回司馬遼太郎賞受賞
2018年 -大阪文化賞 (文学)受賞
2020年 -『グッドバイ』第11回親鸞賞受賞
2021年 -『類』第71回芸術選奨受賞
2021年 -『類』第34回柴田錬三郎賞受賞
(ソース:Wikipediaより)