『透明な夜の香り』千早茜/おすすめ本!感想あらすじ

【第6回渡辺淳一文学賞受賞作】

目次

感想

こんにちは。月子です。
今回ご紹介させて頂く本は
千早 茜さん著作の
『透明な夜の香り』です。

ミステリー要素が
絶妙に織り交ぜられ
緊張感に包まれると同時に、
その静寂と美しさに
心奪われる物語でした。

森を抜けた場所にひっそりと佇む洋館。
その門をくぐり抜けて
物語は始まります。

太陽の光を浴び生き生きと輝くガーデン。
そこには薬草、香草、美しい花などが植えられ

静寂の中に漂う香りと
幻想に満ちた世界観に
わたしは静かに魅了されました。

過去の忘れられない苦しみを
胸に抱えている二人、
主人公、一香(いちか)と
洋館の主でもある
ミステリアスな調香師、朔(さく)。

二人がお互いに何か特別なものを
感じるのは自然なことかもしれない。

でもけして
恋愛小説のような甘いものでは
ありません。
ビターです。
そして時に危険で
ハッとさせられます。

少しずつ絡め取られるような
妖しさ。

まるで読み手である自分までも
揺らぎの中に封じ込められてゆくように
どんどん物語に誘引されてゆきました。

深い夜の底に
ひっそりと留まっているかのような
一香と朔……。
二人がたどり着いた場所を
ぜひ見届けてください

✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・

また、この作品の
根底を流れる魅力のひとつに
“香り“があります。

洋館を包む
深い森の香りや
朝の花の香り__。
ハーブの香りが舞う
料理やドリンク、スイーツ。

それらの香りに
想いを巡らせながら
ページを捲りました。
今でもそっと
わたしを包んでいるかのようです。

そして同じように
人や物、場所、記憶にも
独特の香りがあります。
読んだ人の心に眠る
それぞれの香りが
この物語から立ち上るのでしょう。
またそれは一つとして
同じ香りはないのでしょうね……。

わたしは、この静かで美しい世界に
しんしんと深く浸っていたくて
ゆっくりゆっくりと読みました。

読み終わるのが寂しくなる
魅惑的な1冊でした。

続編の『赤い月の香り』を
読める楽しみがあり
良かったです。

なお、朔を囲む登場人物が
それぞれに魅力的なことも
この作品に惹きつけられる要素だと
思います。
いっそシリーズ化されたらいいなぁ〜と、夢見ております。

よろしければ
あなたも是非
この本を
手に取ってみてくださいね。

素敵な
読書の時間を
お過ごしください。

おしまい。

あらすじ

香りは、永遠に記憶される。
きみの命が終わるまで。

元・書店員の一香がはじめた
新しいアルバイトは、
古い洋館の家事手伝い。
その洋館では、調香師の小川朔が、
オーダーメイドで
客の望む「香り」を作る仕事をしていた。
人並み外れた嗅覚を持つ朔のもとには、
誰にも言えない秘密を抱えた女性や、
失踪した娘の手がかりを求める親など、
事情を抱えた依頼人が次々訪れる。
一香は朔の近くにいるうちに、
彼の天才であるがゆえの「孤独」に
気づきはじめていた――。
「香り」にまつわる
新たな知覚の扉が開く、
ドラマティックな長編小説。
(ソース:Amazon)

著者紹介

千早 茜(ちはや あかね、
1979年8月2日 ‐ )は、日本の小説家。
北海道江別市出身。
立命館大学文学部
人文総合インスティテュート卒業

父(国際協力機構勤務で
病理学を専門とする獣医師)の仕事の関係で、小学校1年生から4年生までを
アフリカ・ザンビアで過ごす。
ザンビアではアメリカンスクールに
通っていた。
小さい頃から本が好きで、
北海道大麻高等学校時代は
『伊勢物語』全段を自分で
現代語訳するほど古典文学に傾倒していた。

大学時代は美術活動も行い、
絵に詩を付けた作品を発表したところ
詩の評判が良く、
映画部の友人から頼まれて
ストーリーを作り始める。
寺山修司の詩「てがみ」の
影響を受けて魚の詩を多く書き、
それを小説に起こして完成させた
「魚神」がデビュー作となった。

創作を始めたときから
「29歳のときに一度だけ
文学賞に挑戦しよう」と決めており、
大学卒業後は医療事務や美術館など
多数のアルバイトを経験。
挑戦をたった一度と決めたのは、
自分が小説家に向いているかどうか
“判断”するためであり、
29歳という年齢は
当時好きだった村上春樹の
影響であると語っている。

(ソース:ウィキペディア)

受賞歴

・2008年、「魚」で第3回ポプラ社小説大賞で最終選考作品に残る。
同作で第21回小説すばる新人賞受賞。
受賞後「魚神」と改題。

・2009年、「魚神」で
第37回泉鏡花文学賞受賞。

・2013年、「あとかた」で
第20回島清恋愛文学賞受賞、
第150回直木三十五賞候補。

・2014年、「男ともだち」で
第151回直木三十五賞候補。
同年、「男ともだち」で
第1回新井賞を受賞。
2015年、「男ともだち」で
第36回吉川英治文学新人賞候補。

・2021年、「透明な夜の香り」で
第6回渡辺淳一文学賞受賞。

・同年、「ひきなみ」で
第12回山田風太郎賞候補。

・2023年、「しろがねの葉」で
第168回直木三十五賞受賞。

(ソース:ウィキペディア)

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