
あらすじ
22歳の小説家志望すみれは
生まれて初めて恋に落ちた。
恋に落ちた相手はすみれより17歳年上で、
既婚者で、さらにつけ加えるなら、
女性だった。
相手の女性の愛称は「ミュウ」といった。
小学校の教師である「ぼく」は
大学在籍中にすみれと知り合い、
以来すみれに恋をしていた。
「ぼく」にとって長いあいだ
すみれしか存在しないのも同じだった。
そのうち「ぼく」はローマの消印のある
すみれからの手紙を受け取り、
ミュウとすみれが仕事で
ヨーロッパに渡っていることを知る。
やがてミュウから国際電話が入り、
一刻も早くここに来られないかと言われる。「ここ」とはロードス島の近くにある
ギリシャの小さな島だった。
「ぼく」はギリシャの島のコテージで
ディスクを見つけ、
すみれの書いた文書を読む。
その夜「ぼく」は音楽の音で目がさめる。
音楽はどうやら山頂のほうから
聞こえてくるようだった。
音楽の聞こえる方に向かって歩き、
頂上から空を見上げると、
月は驚くほど間近に荒々しく見えた。
月の光はミュウに自らの
もうひとつの姿を目撃させた。
それはすみれの猫をどこかに連れ去った。
それはすみれの姿を消した。
それは存在するはずのない音楽をかなで、
「ぼく」をここに運んできた。
(ソース:ウィキペディア)
感想
まるで迷宮のような
喪失の物語だった。
語り手の「ぼく」、
作家を志すスミレ
彼女が恋する年上の女性ミュウ。
それぞれがすれ違い
言葉にならない熱だけが
宙に浮かんでいる。
主人公の「ぼく」は
ただ二人の軌道を見上げる
衛星のようだった。
孤独なスプートニクのように……。
そんな三人の奇妙な三角関係を中心に
ストーリーは展開していくが
単なる恋愛小説ではなかった。
人間の心の奥底に潜む孤独、
愛への渇望、
そして自己の探究を描いていて、
乾いた静けさと共に
それらがゆっくりと
心に広がっていく。
そして気がつくと、
謎に満ちた幻想的な村上ワールドに
深く引き込まれていて、
彼らの悲しみや痛みの中に潜り込み
その奥にあるもう一つの世界__
切ない閉じられた不思議な世界__、
その中に漂っているのだ。
あたかも迷宮のような物語の中で
自分の心の葉脈にも
深く潜り込んでしまう。
そして、
同じ本でも
読んだ人の数だけ物語があり、
その人その人の世界が
そこにある……。
読み手の中にある感性と響き合い、
ひとつの物語が誕生する__。
そんなことを、改めて思い出させてくれる。
この本は、読書の素晴らしさを感じる、
まるで魅惑的な詩のような
作品だった。
これから歳を重ねて
また何度でも
読みたくなるであろう1冊に
巡り会えた。
✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚
よろしければ
あなたも是非
この本を
手に取ってみてくださいね。
素晴らしい
読書の時間を
お過ごしください。
おしまい。
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著者紹介
村上 春樹(むらかみ はるき)
1949年(昭和24年)1月12日 生まれ。
両親ともに高校の国語教師であり
本好きの親の影響を受け読書家に育つ。
1955年に西宮市立浜脇小学校入学。
4年生の頃から急に本が好きになり
また、西部劇や戦争映画も見た。
西宮市立香櫨園小学校卒業。
芦屋市立精道中学校卒業。
1964年に兵庫県立神戸高等学校に進学。
この頃から父に『枕草子』や『平家物語』といった古典文学を暗唱させられ、その反動で海外文学に興味を移す。
河出書房の『世界文学全集』と中央公論社の『世界の文学』を一冊一冊読み上げながら10代を過ごした。
また中学時代から中央公論社の全集『世界の歴史』を繰り返し読む。
1年の浪人生活ののち
1968年に早稲田大学第一文学部に入学
演劇専修へ進む。
在学中は演劇博物館で映画の脚本を読みふけり、映画脚本家を目指してシナリオを執筆するなどしていたが、大学へはほとんど行かず、新宿でレコード屋のアルバイトをしながら歌舞伎町のジャズ喫茶に入り浸る日々を送る。
1970年代初め、東京都千代田区水道橋にあったジャズ喫茶の従業員となった。
1971年10月、高橋陽子と学生結婚したが、子供は持たないようにした。
二人は昼はレコード店、夜は喫茶店でアルバイトをして250万円を貯め、さらに両方の親と銀行から借金をして総額500万円を開業資金とし
大学在学中の1974年、ジャズ喫茶「ピーター・キャット」を開店。夜間はジャズバーとなり、週末は生演奏を行った。
1978年、小説を書くことを思い立つ。
それからはジャズ喫茶を経営する傍ら
毎晩キッチンテーブルで書き続けた。
1979年、『風の歌を聴け』で群像新人文学賞を受賞しデビュー。
1981年、専業作家となることを決意。
翌年、本格長編小説『羊をめぐる冒険』を発表し、第4回野間文芸新人賞を受賞。
1985年、長編『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』発表、第21回谷崎潤一郎賞受賞
1986年10月、ヨーロッパに移住(主な滞在先はギリシャ、イタリア、英国)。
1987年発表の『ノルウェイの森』は2009年時点で上下巻1000万部を売るベストセラーとなる。
1991年、ニュージャージー州プリンストン大学の客員研究員として招聘され渡米する。
2005年、『海辺のカフカ』の英訳版『Kafka on the Shore 』が『ニューヨーク・タイムズ』の”The Ten Best Books of 2005″に選ばれる。
2006年、フランツ・カフカ賞受賞。
2006年、フランク・オコナー国際短編賞受賞『めくらやなぎと眠る女』
2008年6月3日、プリンストン大学は村上を含む5名に名誉学位を授与したことを発表した。村上に授与されたのは文学博士号である。
2009年、エルサレム賞受賞。
2009年、毎日出版文化賞受賞。『1Q84』
2009年、スペイン政府からスペイン芸術文学勲章が授与され、それによりExcelentísimo Señorの待遇となる。
(ソース:ウィキペディア)