『傲慢と善良』辻村深月/おすすめ本!あらすじ感想

目次

あらすじ

婚約者・坂庭真実が姿を消した。
その居場所を探すため、
西澤架は、
彼女の「過去」と
向き合うことになる。

彼女は、なぜ姿を消したのか。
浮かび上がる現代社会の
生きづらさの根源。
圧倒的な支持を集めた
恋愛ミステリの傑作。

「恋愛だけでなく
生きていくうえでの
あらゆる悩みに答えてくれる物語」と
読者から圧倒的な支持を得た作品。
(ソース:Amazon)
(ソース:紀伊國屋書店)

✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・

西澤架(かける)、39歳、東京育ち。
父親の跡を継ぎ、
地ビールの、小さな輸入会社を
経営している。

イケメンで社交的。
常に彼女がいるような人生を
過ごしてきたが、
その出会いを普通に過ごしてしまい、
年月だけが経ち、
深く大事にはできなかった。
結婚したい……と思えたときには
相手はいなくなっていた。

マッチングアプリで
お洒落でモテる架は
いろんな相手と出会うが、
同じようなやりとりを
繰り返すだけで
結婚したいと思うような人には
出会えず、婚活したがらも、
どうしたら結婚できるのか悩んでいた。

坂庭真実、35歳、群馬県育ち。
30を過ぎてから上京、一人暮らし。
親の引いたレールの上を
ひたすら歩んできた。
母親の勧めで地元の学校を卒業し、
父親の口利きで地元に就職。

素直に、大事なことは
全て親の言うとおりに生きてきた。
いつのまにか自分では大事なことを
決断できず、
自分というものはなくなっていた。
大人しく、引け目を感じながら
生きてきた。

そんな2人が
マッチングアプリで出会い、
真美のストーカー被害がきっかけで
同棲することに。
そしてやがて婚約するが……。

真美が突然姿を消す。
その居場所を探す中で
架は彼女の過去と
向き合うことになる。
知りたくなかった真美の過去と嘘が
徐々に明らかになっていく。

感想

怖い〜!でも面白い!
怖い〜!でも面白い!
そんなこんなで
夢中になってしまった1冊である。
ミステリー要素のある
ストーリーではあるが、
それ自体が怖いわけではない。
人間の奥底に潜む本質を抉りだし、
迫ってくるのだ。

自分自身の傲慢さを
突きつけられてしまう、
なんとも恐ろしい小説なのである。
ホラーよりも恐ろしいのである。

本書は2019年に刊行され、
2022年に文庫化。
2024年には映画化された。
第7回ブクログ大賞、
うつのみや大賞を受賞した、
大ヒット作品である。 
もちろんエンターテインメント作品
としても大いに楽しめるが、
やはり辻村大先生の
人間心理に対する深い分析力と、
人の本質を炙りだす
人間描写の筆力に舌を巻く。
そしてその人間心理は
恋愛だけではなく
人間関係全てにおいて
言えることなのである。

中でもわたしが1番胸に刺さったのは、
婚活世話役の人と、
ヒロインの姉のセリフである。

「ピンとこないの正体は、
その人が自分につけている値段です」
「値段という言い方が悪ければ、
点数と言い換えても
いいかもしれません。
その人が無意識に自分は幾ら、
何点とつけた点数に
見合う相手が来なければ、
人は“ピンとこない“と言います。」

「みんな、自分のパラメーターの中の、
いい部分でしか勝負しないんだよ。
自分の方が収入が低くても、
外見が悪くても、
相手より勝ってる部分にしか目が向かない。」

グサグサグサーッ!
ロンギヌスの槍が刺さってしまったー‼︎
(エヴァ見てない人すびばせんm(_ _)m)

……さておき……コホン……

なんて鋭い洞察力でしょう!
他者との比較において
〝ピンとこない〝の本質は、
自分のことは棚に上げている
ことだというのだ!
ははぁーm(_ _)m(ひれ伏すわたし……)

わたしもまだ独身であった頃、
ロングロングタイムアゴー……
確かに言っていた!
自分のことは棚に上げ、
いや棚を通り越し屋根に上げ、
いやいや屋根より遥か彼方
宇宙に放り上げ
「ピンとこない」と言っていた。

普段、自分にはたくさんの
足りないところがあると
思っていながらも、
いざとなると
頭をもたげてくる自己愛……。

無意識に自分の価値を
高く見積もっているということに
戦慄してしまった。

✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・

優しさと善良の仮面をかぶり
わたしはどれほど他者を
知らずにいるのだろう。
自分の傲慢さに気付かずにいるのだろう。

それは人間関係全てにおいて
静かに問い直すべき普遍的なテーマだ。

読後、胸に残るのは問いかけだった。
わたしの優しさは誰のためなのか__
本当の慧眼とは何なのか__。

この物語は、人の本質に迫り、
自己と他者の理解について
深く問いかける傑作の1冊だ。

✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・

よろしければ
あなたも是非
この本を
手に取ってみてくださいね。

素晴らしい
読書の時間を
お過ごしください。

おしまい。

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著者紹介

辻村 深月(つじむら みづき、
1980年2月29日 -)は、
日本の小説家。
山梨県笛吹市出身。

幼い頃から読書好きで、
「シャーロック・ホームズシリーズ」や
「少年探偵団シリーズ」などの
ミステリーから、『ズッコケ三人組』や
『クレヨン王国』などの
ジュブナイルなどを読んでいた。
小学校3年生で「悪霊シリーズ」で
ホラー小説に出会い、夢中になる。
クラスで同シリーズも入っている
講談社X文庫ティーンズハートが流行して、感化された小説を書き始めたので、
自分も「小説は書いてもいい」と気付き、
ノート数冊にホラー調の習作小説を書く。

小学校6年生の時に
綾辻行人の『十角館の殺人』を読んで
衝撃を受けて以来大ファンとなる。
その後、綾辻の作品を読み漁り、
何度もファンレターを送り、
編集部の厚意で綾辻本人と
手紙やメールを交わす間柄となったほど。
ペンネームの「辻」も綾辻から取られた。
また、17歳の時には
自宅から埼玉県の書店まで
京極夏彦のサイン会に
友人と2人で出かけ、
違反だと知りつつ思わず握手もするほど
はしゃいでしまったという。

1998年に山梨学院大学附属高等学校
特進コース、2002年に千葉大学
教育学部卒業。千葉大学を選んだのは
ミステリ研究会があったから。
卒業後は甲府にある県庁村会事務所で
団体職員として働きながら
執筆を続け、2004年
「冷たい校舎の時は止まる」で
第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。
同作は高校生の頃から書き始め、
その後大学4年間で書き上げた作品。
かなりの長編であったため、
この枚数を受け入れてくれること、
『十角館の殺人』と同じレーベルから
出版されるということを考え、
メフィスト賞に応募した。
受賞は、打ち合わせの編集者に聞いた
綾辻本人からの電話で知った。
同作のヒロインに自分と同じ
「辻村深月」と付けたのは、
多くのミステリ作家に倣ったためである。2008年に退職し、専業作家となる。
そしてこの頃、山梨で
学生生活を送っていた頃から
知っていた男性と結婚した。
2012年、『鍵のない夢を見る』で
第147回直木三十五賞を受賞。

2019年、「第12回ベストマザー賞2019」の文芸部門を受賞。同年3月15日から
山梨日日新聞紙上で「琥珀の夏」
(画 はるな檸檬)の連載を開始した。
2024年11月11日に、
「anan AWARD 2024
クリエイティブ部門」を受賞。
2025年1月から直木賞の
選考委員を務める。
(ソース:ウキペディア)

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