
・1作目 さよなら妖精
・2作目 王とサーカス
・3作目 真実の10メートル手前
感想
読書の秋というけれど、
夜に本を開くと、
ページを捲るスピードよりも
瞼が閉じるスピードのほうが
速い私。
秋の夜長を有意義に過ごせるかは、
睡魔との戦いにかかっているのだ。
さて……そんな中、
今回ご紹介させて頂く本は
米澤穂信の
太刀洗万智(たちあらいまち)シリーズ
『ベルーフシリーズ』だ。
このシリーズは、元新聞記者
太刀洗万智を主人公とした、
静謐ながらも
張り詰めた空気感が魅力の
連作シリーズだ。
ミステリーとしての技巧に加え、
報道という職業に対する
深い洞察力と、倫理的な問いを
孕んだ傑作である。
私は連作とは知らずに
ミステリーランキング3冠を
成し遂げた『王とサーカス』を
先に読んでしまった。
順番としては2冊目から
読んだこととなるが
問題なく楽しめた。
1冊1冊独立した物語になっている。
『王とサーカス』に流れる
ざらりと乾いた気配は
とても好みで、
あっという間に物語の世界に
引き込まれた。
米澤作品らしい緻密な構成と、
クールな文体も健在で、
派手な演出に頼らず
静かに深く心をえぐってくる。
まさに「静かな衝撃」を味わえるのだ。
そして、血の付いた太刀を
洗う姿が似合いそうな、
冷たい眼差しの主人公、
クールビューティー太刀洗万智は、
切れ者であるが癖も強い。
しかしシリーズを通して、
彼女の人間らしさ、
人としての優しさを知り、
気がつくと彼女の
ファンになっていた。
ちなみに「ベルーフ」とは、
ドイツ語の「Beruf」に由来し、
天職、使命、専門職、職業、などを
意味するらしい。
ベルーフ__
しかしそれは、
太刀洗万智にとっては、
祈りにも似た、
事実への、矜持への、
静かな誓いのような
ものかもしれない。
全てを明かすのではなく、
全てを背負って進むかのように__。
読後、
正義や報道の意味を静かに
問いかけてくるこの作品の余韻は、
いつまでも長く長く
心に残った。
米澤穂信の『ベルーフシリーズ』は、
成熟した大人のためのミステリーと
言える、見事な名作シリーズである!
あらすじ

さよなら妖精
岐阜県高山市をモデルとした
地方都市・藤柴市を舞台に、
語り部を務める守屋路行を含む
4人の高校生と、ユーゴスラビアから来た少女・マーヤの交流を描いた
青春ミステリ。
マーヤの帰郷先を特定する犯人当てと同質の謎解きを中心にしながら、
マーヤと過ごす中で出会った
様々な日常の謎にまつわる推理も
展開される。それらと並行して、
マーヤとの交流をきっかけに
別世界への羨望を抱いた
守屋の心理が描かれる。
文庫版を底本としており、
帰国後のマーヤの視点で描かれる
書き下ろし短編『花冠の日』を
併録している。
(ソース:ウィキペディア)
この物語には実際にあった
ユーゴスラビアの紛争が
描かれている。
『このミステリーがすごい!』
2005年版では20位。

王とサーカス
2001年、新聞社を辞めたばかりの
太刀洗万智は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、
事前取材のためネパールに向かった。現地で知り合った少年に
ガイドを頼み、穏やかな時間を
過ごそうとしていた矢先、
王宮で国王をはじめとする
王族殺害事件が勃発する。
太刀洗はジャーナリストとして
早速取材を開始したが、
そんな彼女を嘲笑うかのように、
彼女の前にはひとつの死体が転がり……。
「この男は、わたしのために
殺されたのか? あるいは――」
疑問と苦悩の果てに、
太刀洗が辿り着いた痛切な真実とは?
『さよなら妖精』の出来事から
10年の時を経て、
太刀洗万智は異邦でふたたび、
自らの人生をも左右するような
大事件に遭遇する。
2001年に実際に起きた王宮事件を
取り込んで描いた
壮大なフィクションにして、
米澤ミステリの記念碑的傑作!
(ソース:Amazon)
ミステリが読みたい!
2015年版 国内編 1位(2015年)。
週刊文春ミステリーベスト10
2014年 国内部門 1位(2015年)
このミステリーがすごい!
2015年版 国内編 1位(2015年)
ミステリーランキング3冠を達成。

真実の10メートル手前
ジャーナリスト太刀洗万智が出合う
六つの事件。
米澤穂信が放つ、粒揃いの短編集!
第155回直木賞候補作。
高校生の心中事件。
二人が死んだ場所の名をとって、
それは恋累心中と呼ばれた。
週刊深層編集部の都留は、
フリージャーナリストの
太刀洗と合流して取材を開始するが、徐々に事件の有り様に違和感を
覚え始める。太刀洗はなにを、考えているのか? 滑稽な悲劇、
あるいはグロテスクな妄執――
己の身に痛みを引き受けながら、
それらを直視するジャーナリスト、
太刀洗万智の活動記録。、
「綱渡りの成功例」など
粒揃いの六編、
第155回直木賞候補作。
(ソース:Amazon)
直木賞には候補入りしたものの
受賞はしておらず、
第166回(2022年)の
直木賞を受賞したのは
同氏、米澤穂信『黒牢城』。
著者紹介
米澤 穂信(よねざわ ほのぶ、
男性、1978年)は、
日本の小説家、推理作家。
岐阜県出身。岐阜県立斐太高等学校、金沢大学文学部卒業。
〈古典部〉シリーズ(2001年 – )
〈小市民〉シリーズ(2004年 – )
『折れた竜骨』(2010年)
『満願』(2014年)
『黒牢城』(2021年)
主な受賞歴
角川学園小説大賞奨励賞(2001年)
日本推理作家協会賞(2011年)
山本周五郎賞(2014年)
山田風太郎賞(2021年)
直木三十五賞(2022年)
本格ミステリ大賞(2022年)
吉川英治文庫賞(2025年)
デビュー作
『氷菓』
物心ついた頃から漠然と
作家業を志すようになる。
11歳でハーバート・ジョージ・ウェルズ『宇宙戦争』の続篇という形で
二次創作を書き、
中学2年生あたりから
オリジナルの小説を書き始めた。
金沢大学文学部の2年生から、
ウェブサイトでネット小説サイト
「汎夢殿」(はんむでん)を運営し、
作品を発表し始める(デビューが
決まった後「汎夢殿」は
一旦閉鎖され、これらの作品は
現在読むことが出来ない)。
様々な種類の
エンターテイメント作品を
書いていたが、大学時代に
ミステリーへの方向性を決める。
大学卒業後は、
「2年間だけ小説の夢にチャレンジしたい」と両親を説得して、
岐阜県高山市で書店員をしながら
執筆を続ける。
そして2001年、『氷菓』で
第5回角川学園小説大賞
ヤングミステリー&ホラー部門
奨励賞を受賞してデビュー。
『氷菓』は「汎夢殿」で
発表した作品の中で
反響が大きかったのを受けて
応募を決めた。
そして〈古典部〉シリーズである
『氷菓』が、
角川スニーカー文庫内に
新たに立てられた
「スニーカー・ミステリ倶楽部」の
第1回配本として、
これに続いて
『愚者のエンドロール』が刊行された。
『さよなら妖精』は2005年版の
『このミステリーがすごい!』
(宝島社)の国内部門で20位となり、米澤穂信の名を
広く世に広める結果となった。
同年には〈古典部〉シリーズと同じく日常の謎を主に扱う
〈小市民〉シリーズの第1作
『春期限定いちごタルト事件』
(創元推理文庫)を刊行した。
2008年に刊行した
『儚い羊たちの祝宴』(新潮社)の
頃から謎解き部分だけでなく
物語の味わいの点でも
優れた作品作りを
心がけるようになり、
2010年発表の
ファンタジーテイストを取り入れた
本格推理小説、
『折れた竜骨』(東京創元社)は、
日本推理作家協会賞長編及び
連作短編集部門を受賞した。
2012年に〈古典部〉シリーズが
『氷菓』という題名で
京都アニメーション制作により
アニメ化され人気を博し、
米澤の名はアニメファンにも
知れ渡るようになった。
2014年に刊行した短篇集
『満願』は「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」
「このミステリーがすごい!」の
国内部門1位で史上初の
ミステリ・ランキング3冠に
輝くとともに、
第27回山本周五郎賞を受賞し、
第151回直木三十五賞の
候補作にもなった。
2015年に刊行した
『王とサーカス』も
「ミステリが読みたい!」
「週刊文春ミステリーベスト10」
「このミステリーがすごい!」の
国内部門1位となり、
『満願』に続いて2年連続で
ミステリ・ランキング3冠に輝いた。
2016年、英語圏最大の文芸誌『Granta』日本語版で
Granta Best of Young Japanese Novelistsに選出される。
2021年、『黒牢城』で
第12回山田風太郎賞を受賞した。
また、同作で
「ミステリが読みたい!」
「週刊文春ミステリーベスト10」
「このミステリーがすごい!」
「本格ミステリ・ベスト10」の
国内部門1位となり、
史上初となる
ミステリ・ランキング4冠を
達成した。
さらに『週刊朝日』の
「2021年 歴史・時代小説ベスト3」で1位に選出された。
2022年、同作で
第166回直木三十五賞、
第22回本格ミステリ大賞
小説部門を受賞。
2023年、『可燃物』で
「ミステリが読みたい!」
「週刊文春ミステリーベスト10」
「このミステリーがすごい!」の
国内部門1位となり、
4回目のミステリ・ランキング
3冠に輝いた。
(ソース:ウィキペディア)
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