
あらすじ
お嬢さん、十八かそこらで、
なんでそんなに悲しく笑う?
暴力を唯一の趣味とする
新道依子は、関東有数規模の
暴力団・内樹會にその喧嘩の腕を
買われる。
会長が溺愛する一人娘の
運転手兼護衛を任されるが、
彼女を過酷な運命に
縛りつける数々の秘密を知り__。
血が逆流するような描写と
大胆な仕掛けで魅せる
不世出の
シスター・バイオレンスアクション!
(ソース:河出文庫)
感想
あけましておめでとうございます!
お正月といえば『おせち』ですが、
三日目ともなると
カレーかラーメンを摂取しないと
暴動が起きるという脳内アラートが
鳴り響くのは私だけでしょうか?
栗きんとんの甘さに
癒やされつつも、
スパイスを渇望する体を
引きずりながら
キーボードを叩いております。
今回ご紹介させていただく本は、
2025年の英国推理作家協会賞
「ダガー賞」受賞の話題作、
王谷晶さん著作の
『ババヤガの夜』です。
この主人公、新道依子は
圧倒的に強い。怖い。
めちゃくちゃかっこいい。
そんな彼女が、なぜかヤクザの
一人娘(尚子)の護衛をすることになる。
設定だけ聞くと「はいはい、
よくあるバディものね」と
思うかもしれないが、
安心してほしい。
この物語、だいたい予想の
斜め上から殴ってくる。
そしてエンターテインメントの面白さと、
文学的な要素を併せ持ち、
疾走感に一気読みしてしまう作品だった。
主人公、依子は
社会から疎外された
「ババヤガ
(スラブ民話に登場する
魔女)」のような存在。
一方、尚子は檻の中に
閉じ込められた「お姫様」。
一見、対照的な二人が、
男たちの身勝手な論理や
支配から抜け出すために
手を組む。
その過程で育まれる、
魂の深い部分での絆
(シスターフッド)に
強く心を打たれた。
二人の関係には
名前などつけられない。
友情?恋?主従?
どれもちょっと違う。
ただ、「同じ夜を生き延びた
人間同士」である。
それだけで、十分なんだと
思わされた__。
その関係があるだけで、
世界は少しだけマシになる。
そんな距離感が、妙にリアルで、
そして切ない。
ババヤガの夜……
夜を焼き尽くす、
二人の魔女の詩が
聞こえた。
守るべきものがあるからこそ
彼女たちは怪物になれる。
自分の人生の主導権を
誰にも渡さないという
強い意志が闇に輝いていた。
✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・
読後は、
派手にスカッとするというよりも、
「しん……」となった。
その静けさの中で、
じわじわ後から効いてくる……。
伏線も派手に
回収されるのではなく、
後から静かに意味を変えて
立ち上がってくる。
その遅効性の余韻こそが、
この作品を
忘れがたいものにしている
のかもしれない。
暴力だらけなのに、
どこかとてもとても優しい__。
いつまでも忘れられない……。
そんな素敵な1冊だ。
✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・
よろしければ
あなたも是非
この本を
手に取ってみてくださいね。
素晴らしい
読書の時間を
お過ごしください。
おしまい。
著者紹介
王谷 晶(おうたに あきら、
1981年〈昭和56年〉 – )は、
日本の小説家、エッセイスト。
東京都出身。
2012年、「猛獣使いと王子様」の
ノベライズ作品でデビュー。
2021年、『ババヤガの夜』で
第74回日本推理作家協会賞
長編部門の最終候補に選出される。
2025年、同作の英訳版
“The Night of Baba Yaga”により
英国推理作家協会賞(ダガー賞)の
翻訳部門を日本人として
初めて受賞した。
同年、Public of The Year
2025の学術・文化部門を受賞。
(ソース:ウィキペディア)