『鴨川ホルモー』あらすじと感想レビュー|万城目学の爆笑京都ファンタジー

目次

『鴨川ホルモー』とは?あらすじと作品概要

万城目学さんのデビュー作
『鴨川ホルモー』は、京都を舞台にした、
まさに「奇想天外」という言葉がぴったりの青春群像劇。

読み始めてまず驚くのは、
その突拍子もない設定だ。

一見どこにでもある
大学のサークル勧誘から
物語は始まるが
実態は「オニ」を操って戦わせる謎の競技「ホルモー」。

主人公は、京都に憧れて上京(正確には上洛)した
平凡な大学生。
彼は偶然入ったサークルで
「ホルモー」に巻き込まれていく。

その「ホルモー」という響きのおかしさ。
オニを操るための変なポーズと謎の言葉。
パンツ一丁で踊る「レナウン娘」の儀式。

そんな、シュール過ぎる光景に戸惑い、クスッと笑えてくる。

最初は「何を読まされているんだ」と思うけれど、
あれよあれよと、いつのまにか没入しているのだ。

そして物語の核になるのは、
主人公・安倍の
情けないほど等身大の青春だ。

一目惚れした鼻の美しい女性・早良京子を
追いかけて入部したという不純な動機や、
親友である高村との微妙な関係、
そして「凡人代表」のような葛藤。

ホルモーという非日常の中に、
片思いの切なさや
友人への嫉妬、
集団の中での疎外感といった、
誰もが青春時代に感じたであろう
ヒリヒリした感情が、
リアルに描かれている。
この「非日常(オニ)」と
「日常(恋愛・友情)」のバランスが絶妙だ。

恋、友情、大学生活、そしてオニ。
青春小説の王道要素に、
万城目学的トンデモ設定をぶち込んだ1冊である。

※なお、スピンオフ短編集に『ホルモー六景』があり、
こちらもおすすめである。

感想|とにかく笑える京都ファンタジー

「泣ける」「考えさせられる」小説を読んだあと、
私は何故か無性に万城目学が恋しくなる病である。
正式名称はたぶん
〝マキメ補給症候群〝
今回処方されたのは
『鴨川ホルモー』だ。
副作用:笑いすぎ注意。

タイトルだけでもう楽しい
『鴨川ホルモー』。
京都の大学生たちが、
何故かオニを召喚して戦うという設定だけで、
真面目に考える気力を放棄させてくれる。
しかし不思議なことに、
読み始めるとそのバカバカしさが
「ちゃんとした物語」に変わっていく。

真面目にふざけるという
高度なエンタメなのだ。

笑えるのにちゃんとした物語として成立している。
このバランス感覚こそ、
万城目学さんの真骨頂だ。

そして万城目作品には
文章力という魔法もかかっている。

万城目さんの文章は、
軽やかでテンポよく、
するすると読める。
けれどその軽やかさは
決して軽薄ではない。
比喩のセンス、ツッコミ、
会話の間の取り方。
すべてが計算されていて、
読者を笑わせる。

特に好きなのは
くだらない出来事を
やけに格調高い文体で描写するとき。
そのギャップが笑いを生み、
物語に独特の品格を与えている。

ところで
なぜ人は、重厚な小説のあとに、
ほっこり系や、お笑い系の
作品を読みたくなるのだろう。

それはきっと、読書にも
「緩急」が必要だからだと思う。

真剣に読んだあとに
真剣にふざけた物語を読む。
この落差こそがまた、
読書の快感のひとつではなかろうか。

この物語は、日常の疲れを
笑いでほぐしてくれる
不思議な薬のような小説だった。

重たい物語で心を鍛えたあと、
京都の河原でオニを走らせる。
この無意味で、
でも最高に楽しい寄り道が、
読書生活を豊かにしてくれる。

あなたもぜひ〝マキメ補給〝を。

にやけ顔と、ページを捲る手が
止まらなくなる副作用には、
くれぐれもお気をつけください。

そして……
全体としてこの物語は、
肩の力を抜いて楽しめる
エンターテインメントで
ありながら、若さや未熟さの
愛おしさも描いた作品である。
笑いながら読み進めるうちに、
読後にはなぜか
少し懐かしく、
温かい気持ちが残る
とても魅力的な1冊だ。

著者紹介

万城目 学(まきめ まなぶ、本名同じ、
1976年〈昭和51年〉
2月27日 )は、
日本の小説家。
大阪府出身。
京都大学法学部卒業。

『鴨川ホルモー』『プリンセス・トヨトミ』などの、
実在の事物や日常の中に
奇想天外な非日常性を
持ち込むファンタジー小説
で知られ、作風は
「万城目ワールド」と呼ばれる。
直木三十五賞を6回目の候補作『八月の御所グラウンド』で受賞した。

1浪ののちに京都大学法学部に入学。
秋田県知事の鈴木健太や
お笑い芸人のロザン・宇治原史規は大学の同級生に当たる。

高校1年生のときに古文の教師から受けた
「かしこすぎると先のことが見えて、あきらめてしまう。アホになりなさい」という助言によって生まれた「アホになる力」が
受験への原動力となった。のちに小説家を目指すと決断したのも、
この力によるものであると語っている。

卒業後は化学繊維会社へ
就職、経理マンをしながら
小説を書いていたが、
26歳の時に東京本社への転勤を言い渡され、 
残業続きで書く時間がなくなることを危惧し、
辞令が出る前に退社し東京へ移る。
2年で芽が出なければ社会復帰すると決め、
投稿生活を送るも成果が出ず、資格の学校に通って
再就職の準備を始めた矢先に、第4回ボイルドエッグズ新人賞を受賞し
2006年(平成18年)『鴨川ホルモー』でデビュー。
同書は『本の雑誌』で2006年エンターテインメント1位になり、
2007年(平成19年)の本屋大賞にもノミネートされた。
第2作『鹿男あをによし』は、第137回直木三十五賞候補となる。
2009年(平成21年)、『プリンセス・トヨトミ』で第141回直木賞候補。

2009年度咲くやこの花賞受賞。

2010年(平成22年)、
『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』で
第143回直木賞候補。

2013年(平成25年)、
『とっぴんぱらりの風太郎』で第150回直木賞候補。

2014年(平成26年)、
『悟浄出立』で
第5回山田風太郎賞候補、第152回直木賞候補。

2016年(平成28年)、『バベル九朔』で
第7回山田風太郎賞候補。

2018年(平成30年)、
『パーマネント神喜劇』で
第31回山本周五郎賞候補。

2021年(令和3年)、『ヒトコブラクダ層ぜっと』で
第12回山田風太郎賞候補。

2025年(令和7年)『六月のぶりぶりぎっちょう』で第13回京都本大賞を受賞。

2023年(令和5年)、
『八月の御所グラウンド』を発表した。
本作は、万城目にとって
6度目となる直木賞の候補作となった。
2024年(令和6年)1月17日に第170回直木賞の受賞が決まった。
(ソース:ウィキペディア)

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