『熟柿』佐藤正午/おすすめ本!あらすじ

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あらすじ

取り返しのつかない
あの夜の過ちが、
あったはずの平凡な人生を奪い去った。

2026年本屋大賞ノミネート!!
第20回中央公論文芸賞 受賞
本の雑誌が選ぶ
2025年度上半期 ベスト10
1位

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激しい雨の降る夜、
眠る夫を乗せた車で
老婆を撥ねたかおりは
轢き逃げの罪に問われ、
服役中に息子・拓を出産する。出所後、息子に会いたいがあまり
園児連れ去り事件を起こした彼女は、
息子との接見を禁じられ、
追われるように西へ西へと各地を流れてゆく。

自らの罪を隠して生きる彼女に
やがて、過去にまつわるある秘密が明かされる。

贖罪と再生の時を待つ
胸を打つ人間ドラマ。

『鳩の撃退法』
(山田風太郎賞受賞)
『月の満ち欠け』
(直木賞受賞)
著者による最新長編小説。

(ソース:Amazon)

感想

今日は軽めの1冊で心を
整えようーー
そんな日に限って、
なぜか『熟柿』(じゅくし)を手に取ってしまった。

いやいや、これは”軽め”
どころか、しっかり心に
ずしんとくるタイプ。

例えるなら、
ふわっとした和菓子のつもりで口に入れたら、
中に人生そのものが詰まっていた……
みたいな1冊。

でも不思議。
読み進めるうちに、
「重いのに、手放したくない」という妙な中毒性が
顔を出してくる。
物語の吸引力が素晴らしいのだ。

ページをひらくと、
そこにあるのは、

逃げることも、やり直すこともできない、
ただ”続いていく時間”。

事故で人生が一変した女性・かおりが、
生き別れた息子への愛と、
事故の罪を抱えながら、
懸命に生きる姿。

そして時間はすぐには応えてくれない。

努力も、想いも、すぐに実を結ぶわけではない。

働いて働いて
1日1日、1歩1歩……
朝が来るから起きて、
夜になるから眠る。

その不器用さが、
泥臭さが、
どうしようもなく愛おしい。

かおりが守られますように__と祈るように読んだ。

✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・

(注※ここからはネタバレになります。
作品未読の方は、
読後にお読みくださることをおすすめします。)

やがて
終盤かおりの望みが叶う時が訪れる。

ドラマのような派手な救いではない。
けれど、確かにそこにある、
小さくてやわらかな希望。

ここでタイトルの意味が、
まったく別の光を帯びて
立ち上がってきたことに
衝撃を受けた。

帯にも書いてあるが
『熟柿』という言葉には
“熟した柿の実が
自然に落ちるのを待つように、
気長に時期が来るのを待つ”
という意味があるそうだ。

物語の冒頭では
不穏のイメージだった熟柿が、
終盤では
“「時間」と「機会」を
静かに待つこと”の
象徴へと変わるのだ。

このタイトル回収の鮮やかさには、
思わず息をのむ。

単なる言葉遊びではなく、作品全体のテーマを
包み込むように
機能している。

お見事!と言うほかない。

この物語は、
声を張り上げることなく
そっと静かに教えてくれた。

待つことの大切さ……

そして誠実に愚直に生きることが
いかに大切なことかを__。

重たい物語だったはずなのに、
気づけば、心のどこかが軽くなっていた。

ーーああ、やられたなぁ。
そんなふうに、
静かに微笑んでしまう
魅力に溢れた良作だ。

著者紹介

佐藤 正午(さとう しょうご、
本名:佐藤 謙隆(さとう かねたか)
1955年8月25日生まれ
日本の小説家。

長崎県佐世保市生まれ。
長崎県立佐世保北高等学校卒業、
北海道大学文学部国文科中退。
大学在学中、同郷の作家野呂邦暢の『諫早菖蒲日記』(1977年)を読んで
感銘を受け、ファンレターを書いて
返事をもらったのをきっかけに
小説を書き始める。

1979年に大学中退後は佐世保に戻り、
1983年に2年がかりで書き上げた長編小説
『永遠の1/2』が
すばる文学賞を受賞し作家デビュー。
筆名の「正午」は、アマチュア時代に
佐世保市内の消防署が正午に鳴らすサイレンの音を聞いて、
小説を書きにとりかかるという習慣から
思いついたという。

その他の代表作は『リボルバー』(1985年)、

『個人教授』(1988年、山本周五郎賞候補作)、

『彼女について知ることのすべて』(1995年)、

『Y』(1998年)、

『ジャンプ』(2000年)、

『身の上話』(2009年)などで、
『Y』と『ジャンプ』はベストセラーとなった。

2015年、『鳩の撃退法』で山田風太郎賞受賞。

2017年、『月の満ち欠け』で第157回直木賞受賞。

2025年、『熟柿』で第20回中央公論文芸賞受賞。

競輪を長年の趣味としており、『永遠の1/2』や
短編集『きみは誤解している』、
競輪についてのコラム集『side B』[11]など、
競輪を題材にした作品もいくつも出版されている。

(ソース:ウィキペディア)

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