発行日1987年9月4日
発行元、講談社
ページ数268(上巻)260(下巻)
感想
こんにちは。月子です。
今回ご紹介させて頂く本は
村上春樹さん著作の
『ノルウェイの森』です。
振り返ると
初めにこの小説を読んだのは
まだ若かりし頃で
その頃の私にはこの小説が
ピンときませんでした。
でもこうして
歳を重ねて再読してみますと
なんて素晴らしい小説なのだ…!と
驚嘆するばかりです。
全編を通して
喪失の物語であり
多くの「死」が満ちていました。
生と死
喪失と再生など
様々なテーマが
複雑に織りなされていますが
やはり、見事な恋愛小説なのだと思います。
村上春樹さんの文体も美しく
まるで詩のように
みずみずしく心に響いてきます。
草原の風景
草の匂い
かすかな冷ややかさを含んだ風
山の稜線などが
今ここにあるかのように
感じられます。
描写がとてもイメージしやすく
映像の如くリアルに
脳裏に浮かんできます。
“十月の風は
すすきの穂をあちこちで揺らせ
空は高く
風は草原をわたり
彼女の髪をかすかに揺らせて
雑木林に抜けてゆく。
梢の葉がさらさらと音を立てる。
その他にはどんな物音もなかった。“
(本文の風景描写から略述)
そんな風景が
ありありと鮮やかに
静かに
読み手の心に浮かび上がり
人生の森で迷子になっている
主人公たちの過去へと
あっという間に
連れてゆかれるのでした。
そして全体に漂う孤独感。
登場人物の心の繊細な震え_。
美しさ。
退廃感。
静けさ。
その世界観や魅力に
すっかり引き込まれ
私の心も震えました_。
長編だけれど最後まで飽きさせず
気がつくと、のめり込み、没頭し
夢中で読みました。
また歳を重ねて再読したい
出会えて良かった
素晴らしい一冊です。
よろしければあなたも是非
手に取ってみてくださいね。
ご一緒に
読書という至福の世界へ
旅しましょう。
おしまい。
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あらすじ
(上巻)
暗く重たい雨雲をくぐり抜け
飛行機がハンブルク空港に着陸すると
天井のスピーカーから小さな音で
ビートルズの『ノルウェイの森』が
流れ出した。
僕は一九六九年
もうすぐ二十歳になろうとする秋の
できごとを思い出し
激しく混乱し、動揺していた。
限りない喪失と再生を描き
新境地を拓いた長編小説。
(ソース:読書メーター)
(下巻)
激しくて
物静かで
哀しい。
あらゆる物事を
深刻に考えすぎないようにすること、
あらゆる物事と自分の間に
しかるべき距離を置くこと――。
あたらしい僕の大学生活は
こうしてはじまった。
自殺した親友キズキ
その恋人の直子
同じ学部の緑。
等身大の人物を登場させ
心の震えや感動
そして哀しみを
淡々とせつないまでに描いた作品。
(ソース:読書メーター)
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著者紹介
村上 春樹(むらかみ はるき)
1949年(昭和24年)1月12日 生まれ。
両親ともに高校の国語教師であり
本好きの親の影響を受け読書家に育つ。
1955年に西宮市立浜脇小学校入学。
4年生の頃から急に本が好きになり
また、西部劇や戦争映画も見た。
西宮市立香櫨園小学校卒業。
芦屋市立精道中学校卒業。
1964年に兵庫県立神戸高等学校に進学。
この頃から父に『枕草子』や『平家物語』といった古典文学を暗唱させられ、その反動で海外文学に興味を移す。
河出書房の『世界文学全集』と中央公論社の『世界の文学』を一冊一冊読み上げながら10代を過ごした。
また中学時代から中央公論社の全集『世界の歴史』を繰り返し読む。
1年の浪人生活ののち
1968年に早稲田大学第一文学部に入学
演劇専修へ進む。
在学中は演劇博物館で映画の脚本を読みふけり、映画脚本家を目指してシナリオを執筆するなどしていたが、大学へはほとんど行かず、新宿でレコード屋のアルバイトをしながら歌舞伎町のジャズ喫茶に入り浸る日々を送る。
1970年代初め、東京都千代田区水道橋にあったジャズ喫茶の従業員となった。
1971年10月、高橋陽子と学生結婚したが、子供は持たないようにした。
二人は昼はレコード店、夜は喫茶店でアルバイトをして250万円を貯め、さらに両方の親と銀行から借金をして総額500万円を開業資金とし
大学在学中の1974年、ジャズ喫茶「ピーター・キャット」を開店。夜間はジャズバーとなり、週末は生演奏を行った。
1978年、小説を書くことを思い立つ。
それからはジャズ喫茶を経営する傍ら
毎晩キッチンテーブルで書き続けた。
1979年、『風の歌を聴け』で群像新人文学賞を受賞しデビュー。
1981年、専業作家となることを決意。
翌年、本格長編小説『羊をめぐる冒険』を発表し、第4回野間文芸新人賞を受賞。
1985年、長編『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』発表、第21回谷崎潤一郎賞受賞
1986年10月、ヨーロッパに移住(主な滞在先はギリシャ、イタリア、英国)。
1987年発表の『ノルウェイの森』は2009年時点で上下巻1000万部を売るベストセラーとなる。
1991年、ニュージャージー州プリンストン大学の客員研究員として招聘され渡米する。
2005年、『海辺のカフカ』の英訳版『Kafka on the Shore 』が『ニューヨーク・タイムズ』の”The Ten Best Books of 2005″に選ばれる。
2006年、フランツ・カフカ賞受賞。
2006年、フランク・オコナー国際短編賞受賞『めくらやなぎと眠る女』
2008年6月3日、プリンストン大学は村上を含む5名に名誉学位を授与したことを発表した。村上に授与されたのは文学博士号である。
2009年、エルサレム賞受賞。
2009年、毎日出版文化賞受賞。『1Q84』
2009年、スペイン政府からスペイン芸術文学勲章が授与され、それによりExcelentísimo Señorの待遇となる。
(ソース:ウィキペディア)
日本国外でも人気が高く、柴田元幸は村上を現代アメリカでも大きな影響力をもつ作家の一人と評している。
デビュー以来、翻訳も精力的に行い
スコット・フィッツジェラルド、レイモンド・カーヴァー、トルーマン・カポーティ、レイモンド・チャンドラーほか多数の作家の作品を訳している。
また、随筆・紀行文・ノンフィクション等も出版している。後述するが、ビートルズやウィルコといった音楽を愛聴し自身の作品にモチーフとして取り入れるなどしている。
(ソース:新潮社公式サイト)
作品の詳細
村上春樹の5作目の長編小説。
装幀:村上春樹
1987年9月4日
講談社から書き下ろし作品として
上下二分冊で刊行された。
片山恭一の『世界の中心で、愛をさけぶ』に抜かれるまで
日本における小説単行本の
発行部数歴代1位であった。
2010年にトラン・アン・ユン監督により
映画化された。
第二章と第三章は
短編小説「螢」
(『中央公論』1983年1月号掲載)を
下敷きにしている。
村上は本書についてこう述べている。
「この話は基本的に
僕のまわりで死んでいった
あるいは失われていった
すくなからざる
カジュアルティーズ(犠牲者たち)についての話であり
あるいは僕自身の中で死んで失われていったすくなからざるカジュアルティーズについての話である。」
「自伝的小説」と見られることもあるが、本人はこれを否定している。
【タイトルの由来】
本書は「雨の中の庭」というタイトルで
書き始められた。
このタイトルはドビュッシーのピアノ曲集『版画』の中の一曲
「雨の庭」(Jardins sous la pluie)に由来する。
タイトルは原稿を版元に渡す2日前に変更された。
題名に迷った村上が
妻に作品を読ませて意見を求めると
「ノルウェイの森でいいんじゃない?」という返答があったという。
ビートルズの曲の題を
そのまま本の題にするということで
本人は当初気が進まなかったというが
周りの「題はもう『ノルウェイの森』しかない」という意見が大勢だったため
今のタイトルとなった。
また、村上自身は著書の中で
「ところでビートルズの“ノルウェイの森”というタイトルが
誤訳かどうかという論争が以前からあって
これについて書き出すと
かなり長くなります」
とだけ述べている。
【発行部数】
2009年8月5日時点の増刷で
1000万3400部となり
国内累計発行部数は1000万部を突破した。
村上人気が高い中国でも
100万部以上が出版されている。
本書がベストセラーになったことについて
村上はこう述べている。
「小説が十万部売れているときには
僕はとても多くの人に愛され、好まれ、支持されているように感じていた。
でも『ノルウェイの森』を
百何万部も売ったことで
僕は自分がひどく孤独になったように感じた。
そして自分がみんなに憎まれ嫌われているように感じた。」
【執筆の時期・背景】
日本がバブル景気に沸く頃
1986年10月3日に
村上は妻の陽子とともに日本を発った。
10月半ば、ギリシャのスペッツェス島に住みC・D・B・ブライアンの
『偉大なるデスリフ』の翻訳に取り組んだ。
11月にミコノス島に移動し
翻訳を最後まで仕上げてから
本作品の執筆に取りかかった。
大学ノートにボールペンで書き進めた。
清書前のこのノートは
今でも著者の手元に残っているという。
12月28日、ミコノス島を出た。
1987年1月から1か月間
シチリア島のパレルモで書き続け
それからローマに移動。
3月7日、早朝から17時間休みなしで
第一稿を深夜に書き上げた。
直後の日記に「すごく良い」とだけ書き記した。
3月26日、第二稿完成。
4月初め、イタリアのボローニャ国際児童図書展に来た講談社の社員に
原稿を手渡した。
「ノルウェイの森」というタイトルがついたのは
ボローニャに行く2日前のことだった。
受賞歴
群像新人文学賞
1979年・風の歌を聴け
野間文芸賞
1982年 · 羊をめぐる冒険
谷崎潤一郎賞
1985年 · 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
読売文学賞 小説賞
1995年 · ねじまき鳥クロニクル
第2回桑原武夫学芸賞受賞
1999年・約束された場所
フランク・オコナー国際短編賞
2006年 · めくらやなぎと眠る女
フランツ・カフカ賞
2006年
世界幻想文学大賞 長編部門
2006年 · 海辺のカフカ
Kiriyama Prize for Fiction
2007年 · めくらやなぎと眠る女
エルサレム賞
2009年
スペイン芸術文学勲章
2009年
毎日出版文化賞受賞。
2009年・1Q84
Goodreads Choice Awards Best Fiction
2011年 · 1Q84