第67回日本推理作家協会賞候補
(長編および連作短編集部門)
感想
こんにちは。月子です。
今回ご紹介させて頂く本は
太田愛さん著作の
『幻夏』です。
太田愛さんは、人気ドラマ『相棒』の脚本家として活躍していた方です。
著者は登場人物の内面に細やかに焦点を当て、
彼らの人間らしさや葛藤を
鮮やかに描写しています。
その豊かな筆致は、読み手の心に
映像のごとくリアルに情景を映し出します。
気がつくとわたしは
物語にすっかり心奪われ深く没入していました。
特に、幻のようにノスタルジックな
少年時代は
映画のように映像が心に焼きつき
今でも思い返してしまい
切なさで胸が締めつけられます。
登場人物たちの複雑な感情を経験し、
やがて物語は
善と悪の境界線がぼやけていきました。
わたしは犯人に深く感情移入してしまいました。
願ってはいけないことだけど
犯人の悲願が達成される事を
思わず祈ってしまいました。
読後もずっと、犯人や
犯人の大切な人達のことを想い、
この世界から抜けられない日々を過ごしました。
そしてこの物語によって
正義とは何か……、
洞察を促され
冤罪についても深く
考察を提供されたのでした。
切なくはありますが、
この作品は傑作なヒューマンミステリーであり、
抜群に面白く、
物語からは目が離せません。
ページを捲る手も止まりません。
また、好き嫌いが分かれることもなさそうに思います。
老若男女と幅広く
万人に好評ではないかと思います。
自信を持って誰にでも薦められます。
さすがは大ヒットドラマの脚本家。
秀抜さに脱帽です。
また、こちらはシリーズもので
わたしは2作目の『幻夏』から
読んでしまいましたが、
1作目を読んでいなくても
十分に満喫できる作品になっています。
『幻夏』は、1作目である『犯罪者』の
続篇であると同時に
前日譚でもあります。
とても評判の良い、このシリーズの
1作目『犯罪者』と
3作目『天上の葦』も絶対読もうと思います。
楽しみが増え胸が躍ります。
よろしければ
あなたも是非
この本を
手に取ってみてくださいね。
素敵な
読書の時間を
お過ごしください。
おしまい。
✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・
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あらすじ
23年前の夏
失踪した親友は何を求め
何を失ったのか――
「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」
毎日が黄金に輝いていたあの夏、
同級生に何が起こったのか――
少女失踪事件を捜査する刑事・相馬は、
現場で奇妙な印を発見し、
23年前の苦い記憶を蘇らせる。
台風一過の翌日、
川岸にランドセルを置いたまま、
親友だった同級生は消えた。
流木に不思議な印を残して……。
少年はどこに消えたのか?
印の意味は?
やがて相馬の前に
恐るべき罪が浮上してくる。
司法の信を問う傑作ミステリー。
日本推理作家協会賞候補作。
(ソース:KADOKAWAオフィシャルサイト)
太田愛 犯罪者シリーズ
著者紹介
太田 愛(おおた あい)1964年9月2日生まれ脚本家、小説家。
香川県高松市出身。
大学在学中よりはじめた演劇活動を経て、1997年テレビシリーズ
「ウルトラマンティガ」で脚本家デビュー。
「TRICK2」「相棒」など、刑事ドラマやサスペンスドラマで高い評価を得ている。
2012年『犯罪者クリミナル』(上・下)で
小説家デビュー。
13年には『幻夏』を発表、
日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補となる
(「BOOK著者紹介情報」より)